閉塞性動脈硬化症について

閉塞性動脈硬化症とは、手や足の動脈が狭窄・閉塞して血流が悪くなり栄養や酸素を十分に送り届けることができなくなることにより、手先や足先が冷たくなったり、筋肉の痛みが出たりする症状です。

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閉塞性動脈硬化症/2分で分かる医療動画辞典 ミルメディカル

治療で大切なのは、早期発見、早期治療

治療で大切なのは、早期発見、早期治療、初期症状の場合は、まず生活習慣病の治療です。禁煙を厳守し、生活習慣の改善や食事療法、運動療法がとても重要です。

当院では、専門外来「血管外科」を開設しております。専門医師による専門外来診療を行っておりますので不安・疑問をお持ちの方は、お気軽に当院へご相談下さい。

主な症状

ステージ1 軽度

無症状・しびれ・冷感

足のしびれや強い冷えを感じます。皮膚も指が青白くなってきます。

ステージ2 中等度

間欠性跛行(かんけつせいはこう)

歩くと、ふくらはぎなどに、うずくような痛みやしびれ・疲労感になり、 歩行が次第に困難になり、しばらく休むと治まり、また歩き続けると再 び痛みだす。特に階段の上り下りが辛い。歩ける距離が短いほど重症となります。

ステージ3 重症度

安静時疼痛(あんせいじとうつう)

じっとしていても足の痛みが、どんどん強く痛くなる。夜も眠れなくなるほど、刺すような痛みがつづく。足が黒く変色し、深爪や小さな傷が治りにくい。

ステージ4 緊急度

潰瘍・壊死・切断

足先に血液が届かなくなり、傷をきっかけに治りにくい潰瘍ができる。皮膚が黒く壊死したり、足を切断しなければならないケースもあります。

閉塞性動脈硬化症が発症しやすい人

  • 高血圧
  • 糖尿病
  • 腎機能障害
  • 高脂血症
  • 肥満
  • 喫煙者
  • 透析
  • メタボリックシンドローム

リスクの高い人は、早めの検査・早期発見、早期治療が大切です。

比較的症状が軽微な場合の治療

食事療法

血管の健康を考える上で、食事療法で重要なポイントとなるのは、毎日の食事で塩分とコレステロールの高い食品を控え、また、糖質の摂りすぎも血管を傷つけてしまうため注意が必要です。診察によっては、コレステロールを下げるお薬を飲むことでコレステロールの値をコントロールする必要があります。

当院では、医師が診察にて生活習慣の改善指導、食事改善指導などもさせていただきます。

運動療法

歩行訓練、「歩く」ことは特別な用具や場所を必要とせず、また体への無理な負担がなく、とても安全性にも優れています。足が痛くなるようになると、歩かなくなる患者さんがおられますが、歩くことによって、それまであまり使われていなかった細い血管の血流が増えて、症状が緩和されます。痛みのでる一歩手前で休みながら、繰り返し歩くよう心掛けましょう。無理をして、痛みがでるまで歩く必要は、ありません。

当院では、理学療法士がリハビリを通して、正しい歩き方などの運動療法の指導も行います。

その他の注意点

禁煙

たばこに含まれるニコチンは、毒性の強い物質であるばかりでなく、血管を収縮させる作用があります。また、血液中の中性脂肪を増加させるとともに、高血圧、動脈硬化の原因になります。禁煙できなければ、症状が悪化するうえ、血行再建術を行っても症状が再発する恐れがあります。

冷え性に注意

足が冷えると血管が収縮し、血液の流れがさらに悪くなります。身体をあたためる食事の工夫、栄養バランスのとれた食事を基本に、冷え性が気になるときは身体を温める食材を積極的にとりましょう。四季を通じて素足を避け、靴下を着用して足を保護し、靴も足先のきつくない物を選びましょう。入浴剤による入浴も全身の血行改善に役立ちます。お体の保温に常に努めてください。

薬物療法

糖尿病、高血圧、脂質異常症に対する薬物治療はもちろんですが、症状の軽微な患者さんには、まずは「抗血小板薬」と呼ばれる血液をサラサラにするお薬を服用いただき、経過を見ます。最近では、間歇性跛行(かんけつせいはこう)に効果的な薬剤も複数種類使用できるようになりました。

※間歇性跛行(かんけつせいはこう)とは
血管性の疾患で一定の距離を歩くと、ふくらはぎなどにうずくような痛みやしびれ・疲労感があって歩行が次第に困難になり、しばらく休息すると治まるものの、また歩き続けると再び痛みだすという症状です。原因として神経性と血管性の2種類の疾患が疑われます。

入院が必要な場合・症状が重い場合

カテーテル療法(外科的治療)

血管内手術の技術が発達してきたことにより、カテーテルと呼ばれる細い管を血管の中に通して狭くなった血管を内側から風船で広げたり、そこにステントと呼ばれる金属製の網状の管を入れて固定したりすることで、血流の流れを元通りに回復させる治療法です。

所要時間は1~2時間程度で傷口も小さく、患者さんの負担が軽くてすむ治療法です。

  • 狭くなった血管にバルーンカテーテル挿入。
  • バルーンカテーテル拡張し血管を広げる。
  • 血管部分が再び狭くならないようにステントを残し、バルーンを抜く。
  • 血液の流れがよくなる。

動脈バイパス手術(外科的治療)

血管の狭い部分の形や、長さ、場所によっては上記の治療が困難な場合があり、その場合には狭い部分や詰まってしまった部分を迂回してその先に新たな血液の道を作ります。患者さんのご自身の血管を使ったり、人工血管を使ってバイパス手術を行います。基本的に麻酔は全身麻酔となります。

手術時間は約2時間ほどで、入院期間は約1週間です。