当院の手術と検査例
経皮的冠動脈形成術(PCI)

狭心症や不安定狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患の患者さんに経皮的冠動脈形成術(けいひてきかんどうみゃくけいせいじゅつ)PCI治療を行います。
動脈硬化などが原因で血液の中の脂肪やコレステロールが固まり、血管の内側にこびりついて血管が細くなり血液の流れを悪くします。心臓へ流れる血液が不足すると狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患になり、胸が痛いなどの症状がでたり、重症になると命に関わる危険性も出てきます。
手術方法は、心臓に血液を供給している冠動脈が細くなっているところに、カテーテルと呼ばれる細長い管を挿入して血管を押し拡げ、血流を流れをよくします。

詰まって狭くなった血管にバルーンカテーテル挿入
バルーンカテーテル拡張し血管を広げる
血管部分が再び狭くならないようにステントを残し、バルーンを抜く。血液の流れがよくなる。

経尿道的光選択的前立腺レーザー蒸散術(PVP)

男性特有の臓器である前立腺は、膀胱のすぐ下で尿道を取り囲んでいます。また、その前立腺が加齢とともに肥大(腫大)していく病気が前立腺肥大症です。肥大した前立腺が尿道や膀胱を圧迫すると、「頻繁にトイレに行きたくなる」「尿がたまっているのに全く出ない」「尿の出が悪い」「頻繁にトイレに行きたくなる」「排尿後もすっきりしない」など、様々な症状になります。
今までの治療は、電気メスを用いて前立腺を内側から細かく削り、細くなった尿道を広げ、出血がある、痛みがあるなどのデメリットがありましたが、PVP治療は、内視鏡(膀胱鏡)を用いて尿道から小さな光ファイバーを通し、光ファイバーから高出力な特殊なGreenLightレーザーを照射し、前立腺組織を蒸散させることで前立腺肥大による尿道のつまり(閉塞)を取り除くという治療法です。
患者さんの出血や術後の痛みが少なく安全で最先端治療で前立腺肥大症の効果的な治療方法となります。また、現在は、保険適用治療となっております。

方向性冠動脈粥腫切除術(DCA)

冠動脈がプラークと呼ばれるコレステロール成分が長年蓄積され、高度石灰化病変となり狭窄(きょうさく)に至った場合には、通常のバルーン治療では拡張が極めて困難となります。そこで、カテーテルの先端に小型ドリルがついており、1分間に17〜20万回転という高速で冠動脈の中で回転し、石灰化病変を切削し、血管内の詰まった部分を体外へ取り出す治療法です。
経皮的心筋焼灼術

不整脈の代表的な治療方法である経皮的心筋焼灼術(心臓カテーテルアブレーション治療)とは、太ももの付け根からカテーテルという直径2mm程度の細い管を、血管を通じて心臓に挿入し、不整脈を起こす原因となっているところに、カテーテル先端から高周波電流を流して焼灼(焼いて治療すること)することで不整脈を治療します。
ペースメーカー植込み術

徐脈性不整脈に対する治療として、心臓に電気刺激を送り、脈が正常より遅い時に、心臓の脈拍数を正常範囲内に増やす機械です。右か左の鎖骨下の皮下に500円玉より少し大きいぐらいの大きさの電池を埋め込んで、ここから繋がった電線を、鎖骨下静脈経由で心臓内に留置します。
経皮的大動脈弁形成術(PTAV)

近年、高齢化社会が進み弁膜症が増加傾向にあります。心不全患者さんの約1/5が弁膜症によるものと言われおり、約半数は大動脈弁狭窄症であると考えられいます。
経皮的大動脈弁形成術(PTAV)は、PTACとも呼ばれ、バルーンカテーテルを用いて狭窄した大動脈弁を拡張することで、大動脈弁狭窄の症状を改善することを目的として行われます。
経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)

閉塞性肥大型心筋症の外科的治療で心臓の筋肉が通常より肥大して心臓の出口をふさいでしまい体に血液を送ることを邪魔してしまうものを閉塞性肥大型心筋症と言います。閉塞性肥大型心筋症に対して、カテーテルを使用して純エタノールに肥大した心筋に純エタノールを注入することで、心筋を壊死させ、血流を改善させる治療です。
経皮的末梢血管形成術(PPI)
末梢血管治療(EVT)とは、「末梢血管疾患(閉塞性動脈硬化症、重症下肢・上肢虚血、急性動脈閉塞など)」を主とする手足の血管が細くなったり、詰まったり箇所に対して、腕や足の付け根にある動脈から細い管を入れて、バルーン(風船)で開大させ、ステント(網目状の金属)を入れて、血流を良くする治療です。


経皮的腎動脈形成術(PTRA)
腎臓の動脈硬化が進行すると、動脈内に脂肪やコレステロールが固まってできたプラークの影響で腎臓の血流が悪くなり、腎臓の機能がだんだんと低下していきます。腎臓は血液中の老廃物を除去する臓器ですが、この機能が低下します。放っていると慢性腎不全になり、人工透析が必要な状態になってしまいます。

鎖骨下動脈形成術

鎖骨下動脈の動脈硬化が進行すると、動脈内に脂肪やコレステロールが固まってできたプラークにより血流が悪くなります。主に生活習慣病などが原因とされており、血管が細くなると、脳への影響として血液不足によるめまいや失神がおきたり、疲労感や全身のしびれを感じることがあります。最初は一時的ですが、徐々に悪化し日常生活に支障をきたすほどになります。
治療方法は、血管の拡張術で、ひじの付け根から狭くなっている鎖骨化の血管まで、カテーテルと呼ばれる細長い管を挿入して血管を押し拡げ、血流を取り戻します。さらに、拡げた血管を固定するために、ステントと呼ばれる筒状の金網も一緒にふくらませます。最後に 拡げた血管が元にもどらないよう、ステントを置いたまま、カテーテルを体内から抜きます。

詰まって狭くなった血管にバルーンカテーテル挿入
バルーンカテーテル拡張し血管を広げる
血管部分が再び狭くならないようにステントを残し、バルーンを抜く。血液の流れがよくなる。
シャント(透析用動静脈瘻)

血液透析を行うには、まずシャントが必要となります。シャントとは、血管に針を刺して血液を連続的に透析装置とダイアライザーへ取り出す必要があるため、簡単な手術により、一般的に利き腕ではない方の前腕の動脈と静脈を皮下でつなぎ合わせ、シャントと呼ばれる血液の取り出し口を作ります。
下肢静脈瘤ストリッピング手術(静脈瘤抜去術)

下肢静脈瘤の根治的な治療法として古くから行われている手術です。弁不全を起こしている静脈を引き抜いてしまう方法です。「ストリッピング」とは「抜去する」という意味で、その手術においては、弁が壊れて逆流をきたした病的な静脈を文字通り抜去(切除)して取り除きます。
具体的には、伏在静脈にストリッパーというワイヤを挿入し、静脈をワイヤに縛り付け、ワイヤと一緒に静脈を抜き取るという方法です。足の付け根や膝など皮膚を2〜3cm程度切開し、弁不全を起こした表在(伏在)静脈の中に手術用ワイヤーを通して、この血管を引き抜きます。正常な静脈としては機能していないので、抜き取ってしまっても下肢の血行には全く問題はありませんし、再発率が低い治療方法です。
高位結紮術(こういけっさつじゅつ)

高位結紮術とは、逆流の発生源である鼠径部(そけいぶ)の静脈部分的に切除し(とりのぞき)、断端を縛って(結紮)、血液の逆流を止める治療方法です。
まず、局所麻酔を施した後、鼠径部(脚の付け根)を切開し、患部である静脈を長さ5cm程切除します。その際に血管の断端を縛って逆流を完全に止めます。
切開部分の傷はストリッピング手術のものより小さく、また、局所麻酔であるため日帰りの治療が実施できるというのが、高位結紮術のメリットです。血液が逆流することが主な原因で、高位結紮術で静脈をできるだけ高い位置で縛って逆流を防げば、症状を抑えることができます。
下肢静脈瘤血管内焼灼術 血管内焼灼高周波(ラジオ波)治療

血管内焼灼高周波(ラジオ波)治療とは、下肢静脈瘤の治療として海外で多く実施されている治療法の一つです。全世界で100万件以上の治療実績があり、日本国内でも平成26年6月より保険適応となりました。
手術方法ラジオ波焼灼術は、皮膚に開けた小さな開口部から逆流を起こしている静脈に高周波アブレーションカテーテルを血管内(静脈内)に挿入し、カテーテルから放出される高熱により血管内の病変部を焼ききる治療法です。
動脈バイパス手術

血管の狭い部分の形や、長さ、場所によっては上記の治療が困難な場合があり、その場合には狭い部分や詰まってしまった部分を迂回してその先に新たな血液の道を作ります。患者さんのご自身の血管を使ったり、人工血管を使ってバイパス手術を行います。基本的に麻酔は全身麻酔となります。
手術時間は約2時間ほどで、入院期間は約1週間です。